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宿々

宿々
名詞
1
標準
文例 · 用例
……海も山もさしわたしに、風でお運び遊ばすゆえに、半日|路には足りませぬが、宿々を歩いましたら、五百里……されば五百三十里、もそっともござりましょうぞ。
泉鏡花 天守物語 青空文庫
湖を遥に、一廓、彩色した竜の鱗のごとき、湯宿々々の、壁、柱、甍を中に隔てて、いまは鉄鎚の音、謡の声も聞えないが、出崎の洲の端に、ぽッつりと、烏帽子の転がった形になって、あの船も、船大工も見える。
泉鏡花 小春の狐 青空文庫
それ等の宿々の情景はみな偶然に行きつき泊って、感得したものばかりである。
岡本かの子 河明り 青空文庫
こんなことを生業として宿々に知り合いが出来るとなおこの街道から脱けられなくなり、家を離散さしてから二十年近くも東海道を住家として上り下りしていると語った。
岡本かの子 東海道五十三次 青空文庫
「この次は大津、次は京都で、作楽井に言わせると、もう東海道でも上りの憧憬の力が弱まっている宿々だ」 主人は餅を食べながら笑って言った。
岡本かの子 東海道五十三次 青空文庫
しかしその頃は、走らす車、運ぶ草鞋、いざ峠にかかる一息つくため、ここに麓路を挟んで、竹の橋の出外れに、四五軒の茶店があって、どこも異らぬ茶染、藍染、講中手拭の軒にひらひらとある蔭から、東海道の宿々のように、きちんと呼吸は合わぬながら、田舎は田舎だけに声繕いして、「お掛けやす。
泉鏡花 星女郎 青空文庫
ええ、首尾よくお宮へ献納いたして、一、この度、何々して奇特の段神妙候、藤原の何某、びたりと判の据わった大奉書を戴いて、崖へ戻りますと、それから、皆様へお目にかけますというので、娘がいつも世話になります、湯宿々々の主人の許へ、一ツずつ九軒ばかり、ずらりと配りましたのでござります。
泉鏡花 わか紫 青空文庫
文武官、農、工、商、思い思いに姿を変じた、御曹子が配下の賊徒、八面に手分をなし、湯宿々々に埋伏して、妖鬼家ごとを圧したが、日金颪に気候の激変、時こそ来たれと万弩一発、驚破!
泉鏡花 わか紫 青空文庫