豪富
ごうふ
名詞
標準
文例 · 用例
家居頗大一豪富賈なり。
— 森鴎外 『伊沢蘭軒』 青空文庫
伊勢の御笥作り内人土屋氏は昔槌屋と称え、豪富なりしを悪み数十人囲み壊りに掛かりかえって敗北した時、荒木田守武の狂歌に「宇治武者は千人ありとも炮烙の槌一つにはかなはざりけり」、蛆虫を宇治武者にいい做したのだ(石崎文雅『郷談』)。
— 鼠に関する民俗と信念 『十二支考』 青空文庫
江戸は妻恋坂に、あの辺いったいの広大な地を領して、その豪富諸侯をしのぎ、また、剣をとっては当節府内にならぶものない十方不知火流の開祖、司馬老先生の道場が、この「伊賀のあばれん坊」の婿いりさきなのだ。
— こけ猿の巻 『丹下左膳』 青空文庫
というのは他でもない、九郎右衛門の財産なるものが、予想にも増して豪富なもので、別荘にあるところの財産の如きは、全財産から比べれば、百分の一にも足りないという、そういう驚くべき事実であって、そうしてそれを明かしたのは、別荘番の丑松であった。
— 国枝史郎 『名人地獄』 青空文庫
お家は豪富、ご次男の筈、何から何まで存じております。
— 国枝史郎 『剣侠受難』 青空文庫
お藏前の札差といへば、私たちは豪富な町人で通人で、はじめから言ふ目の出た暮しをしてゐたものと、頭から特別階級のやうに思ひこんでゐたが、はじめはさうではなかつたのだ。
— 長谷川時雨 『花火と大川端』 青空文庫
されば維新時代一漁村に過ぎなかつた寒村が、今や豪富軒を列ぶる殷盛を極めてゐる。
— 河東碧梧桐 『南予枇杷行』 青空文庫
その豪富青年学者は早速返事を呉れた。
— 戸坂潤 『世界の一環としての日本』 青空文庫