辺伊
へんい
名詞
標準
文例 · 用例
伊賀、伊賀、これへ来い」 と、旗本の一士、淵辺伊賀守という者を、なぜかわざわざ、人なき所へさしまねいた。
— 建武らくがき帖 『私本太平記』 青空文庫
毛の生えた耳の穴の持ちぬしにも似ず、淵辺伊賀守|義博は、「……はっ」 と、からだの慄えにたえるだけが精いっぱいか。
— 建武らくがき帖 『私本太平記』 青空文庫
わけて、淵辺伊賀守などは、よくよく業のふかい者であったとみえる。
— 建武らくがき帖 『私本太平記』 青空文庫
淵辺伊賀守義博という四十男は、こうして大塔ノ宮刺殺の腹じたくをまずは作った。
— 建武らくがき帖 『私本太平記』 青空文庫
では、朝夕ついていた番の武者でもないのか」「ではござりませぬ」「ならば、どこの何者だ」「奥羽のさむらい、淵辺伊賀守義博と申しまする」「あるじは」「は」「いやさ、そちの仕えるあるじは」「…………」 淵辺はもとよりそれを明かす気もないし、こんな問答は心にもないことだった。
— 建武らくがき帖 『私本太平記』 青空文庫
宮の白いおすがたは床を蹴ってわれから跳び、淵辺伊賀守のごつい体をでんと押しかぶせに捻じ伏せておられたのだった。
— 建武らくがき帖 『私本太平記』 青空文庫
淵辺伊賀守ほどな荒武者であるのに、血は戦場で見なれているのに、どうしたのか、血に酔った気味で、彼が抱いている首よりは、彼の生きている首のほうが、この世のものでないような面色だった。
— 建武らくがき帖 『私本太平記』 青空文庫
ぼんやり、淵辺伊賀守は、西へ向って歩いていた。
— 建武らくがき帖 『私本太平記』 青空文庫