行末
ぎょうまつ
名詞
標準
end of a line (of writing)
文例 · 用例
妹を引取って後も、郷里との交渉やら亡き人の後始末やらに忙殺されて、過ぎた苦痛を味わう事は勿論、妹や姪の行末などの事もゆるゆる考える程の暇はなかった。
— 寺田寅彦 『障子の落書』 青空文庫
今電車の窓から日曜の街の人通りをのどかに見下ろしている刻下の心持はただ自分が一通りの義務を果してしまった、この間中からの仕事が一段落をつげたと云うだけの単純な満足が心の底に動いているので、過去の憂苦も行末の心配も吉野紙を距てた絵ぐらいに思われて、ただ何となく寛ろいだ心持になっている。
— 寺田寅彦 『障子の落書』 青空文庫
俺はおまえの行末の志望については少しも干渉せぬ。
— 寺田寅彦 『枯菊の影』 青空文庫
それで私は自分の子供等の行末を思ふなら、さういふ風に今から教育しなければさきで困るのではないかと思ふ事も屡※ある。
— 寺田寅彦 『寫生紀行』 青空文庫
諺の「ボンネットを一度水車小屋の磨臼に抛り込んだ以上」は、つまり一度|貞操を売物にした以上は、今さら宿命とか身の行末とかそんな素人臭い歎きは無い。
— 岡本かの子 『売春婦リゼット』 青空文庫
何となく覚束ない二人の行末、ここで少しく話をしたかったのだ。
— 伊藤左千夫 『野菊の墓』 青空文庫
僕は中学校を卒業するまでにも、四五年間のある体であるのに、民子は十七で今年の内にも縁談の話があって両親からそう言われれば、無造作に拒むことの出来ない身であるから、行末のことをいろいろ考えて見ると心配の多い訣である。
— 伊藤左千夫 『野菊の墓』 青空文庫
「然しね、酒塲にゐるああ云つた女の行末は、一體どうなるんだらう?
— 南部修太郎 『ハルピンの一夜』 青空文庫