袖無し
そでなし
名詞
標準
文例 · 用例
学校帽をかぶって、汚れた袖無しを着ていたが、はいている靴を見ると、それはなかなか立派なものだった。
— 寺田寅彦 『鑢屑』 青空文庫
面白いのは、こういう黝んだ問屋の間に、汚点抜き、染め更えしの染物店が混り、そこのショウウヰンドウには、流行の子供の袖無しちゃん/\こが飾ってあるかと思えば義太夫用の裃が飾ってあります。
— 岡本かの子 『生々流転』 青空文庫
ちょうど夕飯をすまして膳の前で楊枝と団扇とを使っていた鍛冶屋の主人は、袖無しの襦袢のままで出て来た。
— 寺田寅彦 『芝刈り』 青空文庫
それが寒い時候にはいつでも袖無しの道服を着て庭の日向の椅子に腰をかけていながら片手に長い杖を布切れで巻いたのを持って、そうしていつまでもじっとしたままで小半日ぐらいのあいだ坊主頭を日に照らしていた。
— 寺田寅彦 『ステッキ』 青空文庫
ところで、峠の茶屋連中、山家ものでも商人は利に敏い――名物の力餅を乾餅にして貯えても、活計の立たぬ事に疾く心着いて、どれも竹の橋の停車場前へ引越しまして、袖無しのちゃんちゃんこを、裄の長い半纏に着換えたでござります。
— 泉鏡花 『星女郎』 青空文庫
三 玄関から声かけると、主婦らしい小肥りの女が出て来て、三村加世子がいるかと訊くと、まだ冬籠り気分の、厚い袖無しに着脹れた彼女は、「三村さんですか。
— 徳田秋声 『縮図』 青空文庫
母親は、この界隈の内儀さんたちの着ているような袖無しなどを着込んで、裏で子供の着物を洗っていた。
— 徳田秋声 『足迹』 青空文庫
」 お庄は、主婦が帽子や袖無しも持って来て、いいつけたことを憶い出しながら、坂を降りて、暗い方へ曲って行った。
— 徳田秋声 『足迹』 青空文庫