皇土
こうど
名詞
標準
文例 · 用例
そは友人板垣伯より貴嬢の志望を聞きて感服せり、不肖ながら学資を供せんとの意味を含みし書翰にてありしかば、天にも昇る心地して従弟にもこの喜びを分ち、かつは郷里の父母に遊学の許可を請わしめんとて急ぎその旨を申し送り、倉皇土倉氏の寓所に到りて、その恩恵に浴するの謝辞を陳べ、旅費として五十金を贈られぬ。
— 福田英子 『妾の半生涯』 青空文庫
縦しや火遁の術ありとも我に鍛への太刀剣、香取鹿嶋の神代より正大ここに鍾ればやはかゆるがむ此の備、照覧あれや皇天皇土。
— 北原白秋 『新頌』 青空文庫
一月十二日◯昨夜モ敵三回来襲ス、薄雪アリ冷雨時ニ落チ冷エ込ムコト甚シ、遠方ニ男女ノ警防団員ノ声ス、皇土ヲ護ル当代ノ人々ナリ、感涙ヲ禁ジ得ズ。
— 海野十三 『海野十三敗戦日記』 青空文庫
――自分の亡父からうけついだ戦いは、皇天皇土の御為であって、それ以外の私心はない。
— 吉川英治 『梅里先生行状記』 青空文庫
こえて永禄二年初夏、ふたたびの上洛にも、その前の折にも、畏くも、綸旨を降しおかれ、隣境の乱あらば討つべし、皇土をみだし、民を苦しめるの暴国あらば赴いて平定せよと、不才謙信に身にあまる御諚であった。
— 吉川英治 『上杉謙信』 青空文庫
(これが、皇土皇天の国にあることか) と、朝臣たちも、雨漏り風の防ぎもない内裏の荒廃をながめて、ただ喞ち嘆くばかりであった。
— 第二分冊 『新書太閤記』 青空文庫
とはいえ、一山の大衆もまた、われわれ武臣も、いずれか皇土の臣でないものはない。
— 第四分冊 『新書太閤記』 青空文庫
皇土の畏れ 濠端から、家路へと散らかってゆく藩士たちの姿を見ると、内蔵助は、その一つ一つの影には、なお幾人もの家族や縁類や、養う家の子があることを考えて、胸が痛くなった。
— 吉川英治 『新編忠臣蔵』 青空文庫