胸先
むなさき
名詞
標準
chest
文例 · 用例
真正面から組み伏せて、この頭で胸先を一当て当てながらようよう縄をかけた」「ほおお。
— ――博多名物非人探偵 『狂歌師赤猪口兵衛』 青空文庫
……と其の帶に挾んで、胸先に乳をおさへた美女の蕊かと見える……下〆のほのめく中に、状袋の端が見えた、手紙が一|通。
— 泉鏡太郎 『艶書』 青空文庫
猛狒怒つて刀身を双手に握ると、水兵は焦つて其胸先を蹴上げる、此大奮鬪の最中沈着なる海軍士官は靜かに進み寄つて、二連銃の筒先は猛狒の心臟を狙ふよと見えしが、忽ち聽ゆる一發の銃聲。
— 押川春浪 『海島冐檢奇譚 海底軍艦』 青空文庫
」 こご田近くへ来た時、例の森のなかの白壁が遙かに汽車の中から見え、銀子はふと二日ほど前に新婚旅行先の飯坂温泉から来た、倉持の絵葉書が想い出され、胸先の痛くなるのを感じたが、あの物哀しい狭い土地から足をぬいたことは、何といっても気持がよかった。
— 徳田秋声 『縮図』 青空文庫
それをジット見ているうちに刹那的に……「嘘を言ってはならぬ」……という気持ちになったので、頭をあげ得ないまま片手を擡げて、今曲って来た横町を指さそうとしたが、その時に、急に胸先がビリビリと痛くなって、全身の血がカーッと顔に上って来るのを感じた。
— 夢野久作 『童貞』 青空文庫
揃って、胸先がキヤキヤと痛むと云う。
— 泉鏡花 『南地心中』 青空文庫
」と邪慳に、胸先を取つて片手で引立てざまに、渠は棒立ちにぬつくり立つ。
— 泉鏡太郎 『神鑿』 青空文庫
初夏の朝の張りのある陽の光が庭端から胸先上りの丘の斜面に照りつけている。
— 岡本かの子 『明暗』 青空文庫
作例 · 標準
鋭い剣先が、一瞬の差で彼の胸先をかすめて通り過ぎ、服に赤い筋を作った。
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激しい動悸が胸先にまで響いてくるのを感じながら、彼女は深呼吸を繰り返した。
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彼は誇らしげな表情で、授与されたばかりの大きな勲章を胸先に飾った。
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