胸倉
むなぐら
名詞
標準
文例 · 用例
そして、亭主のシートの前に立ったまま、胸倉を掴まえて、「嬶を忘れる奴があるか」 と言うと、亭主は頭を掻きながら、「せっかく忘れて来たのになあ」 と言った。
— ――生きる為に―― 『山谿に生くる人々』 青空文庫
俺はまた、今度こそはボロ糞に言われなければならない、と覚悟をしていたんだ、ハッパでボロ糞なんだから、今度は胸倉位とっつかまれて、腕に噛みつかれるだろう、思ってたんだが」 と言って、小林は始めて小さな声で笑った。
— ――生きる為に―― 『山谿に生くる人々』 青空文庫
それがまた喧嘩のはじまりで、気の早い富蔵は相手の横っ面をぽかりとなぐりつけると、藤吉はかっとなって富蔵の胸倉を引っ掴むと、そのはずみに喉を強く絞めたとみえて、富蔵はそのままぱったり倒れてしまったので、藤吉はびっくりして逃げ出した。
— むらさき鯉 『半七捕物帳』 青空文庫
やがて漕ぎ出したときに、御符売りは艫の方に乗り込んだ一人の男を急に見付け出したらしく、ほかの乗合をかきわけて彼の胸倉を引っ掴んだ。
— お化け師匠 『半七捕物帳』 青空文庫
どうするか見やあがれ」 御符売りは相手の胸倉を掴んだままで力まかせに幾たびか小突きまわした。
— お化け師匠 『半七捕物帳』 青空文庫
その胸倉を三次が掴んで其処へ押し仆す。
— 山中貞雄 『恋と十手と巾着切』 青空文庫
浪人は「ナニッ」と遊び人の胸倉をとる。
— 山中貞雄 『恋と十手と巾着切』 青空文庫
強い男は、尚も仲蔵を責めて居る大吉の側へ寄って「コラッ」と胸倉掴んだ。
— 山中貞雄 『中村仲蔵』 青空文庫