惚れ
ほれ
名詞
標準
文例 · 用例
「蓮の浮気は一寸惚れ」という時は未だ「いき」の領域にいた。
— 九鬼周造 『「いき」の構造』 青空文庫
日本人がともすれば自惚れがちで世界のどこに比してもすべての点で遜色ないもののように考えるのは甚だ間違っていると私は思う。
— 九鬼周造 『伝統と進取』 青空文庫
僕は町を歩く毎に、いつもこの町の音楽の前に聴き惚れて居る。
— 萩原朔太郎 『流行歌曲について』 青空文庫
八雲は縁側に立ってそれに聞き惚れ、『いかに面白いと楽しいですね』と言って喜んだが、また『私、心痛いです』と言った。
— 室生犀星と佐藤春夫の二詩友を偲びつつ 『小泉八雲の家庭生活』 青空文庫
私が或る一人の女に惚れ、その女を私有したいことと、人間の私有欲なんてものとが同日に論じられてたまるものか、なんぞと、読んぢまつてから、その文章の主旨なぞはまるでおかまひなしに思つちまふ。
— 中原中也 『散歩生活』 青空文庫
彼にとつて印象といふものは、或ひは現識といふものは、勘考さるべきものでも翫味さるべきものでもない、そんなことをしてはゐられない程、現識は現識のまゝで、惚れ惚れとさせるものであつたのです。
— 中原中也 『宮沢賢治の詩』 青空文庫
諸君がもし一個の林檎に如何にも惚れ惚れとしたら、それを描きたくなるであらう。
— 中原中也 『詩壇への願ひ』 青空文庫
私は婦人の足下の方に立って、此場の情景に見惚れていた。
— 葉山嘉樹 『淫賣婦』 青空文庫