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至粋

しすい
名詞
1
標準
文例 · 用例
われ常に惟へらく、至粋は極致の翼にして、天地に充満する一種の精気なり。
北村透谷 徳川氏時代の平民的理想 青空文庫
唯だ至粋を嚮へて之を或境地に箝むるは人間の業にして、時代なる者は常に其の択取したる至粋を歴史の明鏡に写し出すなり。
北村透谷 徳川氏時代の平民的理想 青空文庫
至粋は自ら落つるところを撰まず、三保の松原に羽衣を脱ぎたる天人は漁郎の為に天衣を惜みたりしも、なほ駿河遊びの舞の曲を世に伝へけり。
北村透谷 徳川氏時代の平民的理想 青空文庫
否、塵芥は至粋を駐むるの権なきなり、漁郎天人の至美を悟らずして、徒らに天衣の燦爛たるを吝む、こゝに於てか天人に五衰の悲痛あり。
北村透谷 徳川氏時代の平民的理想 青空文庫
至粋の降るところ、臨むところ、時代之を受けて其時代の理想を造り、その時代を代表するもの之を己が理想の中心となす。
北村透谷 徳川氏時代の平民的理想 青空文庫
自由を熱望する時代には至粋は自由の気となりて、ウィリヤム・テルの如き代表者の上に不朽なる気禀をあらはし、忠節に凝れる時代には楠公の如き、はた岳飛、張巡の徒の如き、忠義の精気に盈ちたる歴史的の人物を生ずるに至るなり。
北村透谷 徳川氏時代の平民的理想 青空文庫
ピユリタンの興らんとする時に、至粋は彼等朴直なる田舎漢の上に望みて、千載歴史上の奇観をなし、独逸に起りたる宗教改革の気運の漸くルーテルが硬直誠実なる大思想に熟せんとするや、至粋は直ちに入つてルーテルの声に一種の霊妙なる威力を備へたり。
北村透谷 徳川氏時代の平民的理想 青空文庫
至粋は時代を作る者にあらず、時代こそ至粋を招きて自ら助くるものなれ。
北村透谷 徳川氏時代の平民的理想 青空文庫