澄み通る
すみとおる
動詞
標準
文例 · 用例
西は追分、東は関所関所越えれば、旅の空 咽ぶがような歌声が、月の光を水と見て、水の底から哀々と空に向かって澄み通る。
— 国枝史郎 『名人地獄』 青空文庫
――まかがよふ昼のなぎさに燃ゆる火の澄み透るまのいろの寂しさ。
— 島木健作 『忘れえぬ風景』 青空文庫
澄み透る明るい空の青が、水平線近くで、茫と煙る金粉の靄の中に融け去つたかと思ふと、其の下から、今度は、一目見ただけで忽ち全身が染まつて了ひさうな華やかな濃藍の水が、擴がり、膨らみ、盛上つて來る。
— ――ミクロネシヤ巡島記抄―― 『環礁』 青空文庫
澄み透る明るい空の青が、水平線近くで、茫と煙る金粉の靄の中に融け去ったかと思うと、その下から、今度は、一目見ただけでたちまち全身が染まってしまいそうな華やかな濃藍の水が、拡がり、膨らみ、盛上って来る。
— ――ミクロネシヤ巡島記抄―― 『環礁』 青空文庫
と、彼は汽車の窓から外を見る度びに、心が笛を吹くように澄み透るのを感じた。
— 横光利一 『旅愁』 青空文庫
跨ぐズボンの股間から純白のいぶきが胸に噴き上り、粛然とした慎しみで、矢代は鼻孔が頭の頂きまで澄み透るように感じた。
— 横光利一 『旅愁』 青空文庫
澄み透るような静かな陽射し、このさまをみては武陵桃源という文字もありそうなことだと思うし、白髪の仙人が瑟をもった童児を従えている図も絵空ごととは思えない風景である。
— 上村松園 『中支遊記』 青空文庫
四辺は既に片づけられ、此処に散華した勇士達の粗末な墓標が、まだ仮りの姿で立っているだけであるが、季節も丁度こんな頃ではなかったのか、澄み透る空気に、鮮かな匂いを見せた秋の日射し。
— 上村松園 『中支遊記』 青空文庫