貌
かお
名詞
標準
文例 · 用例
長なる髪をうしろに結びて、旧りたる衣に軟へたる帯、やつれたりとも美貌とは誰が目にも許すべし。
— 樋口一葉 『軒もる月』 青空文庫
いざ雪ふらば降れ、風ふかば吹け、我が方寸の海に波さわぎて、沖の釣舟おもひも乱れんか、凪ぎたる空に鴎なく春日のどかになりなん胸か、桜町が殿の容貌も今は飽くまで胸にうかべん。
— 樋口一葉 『軒もる月』 青空文庫
「あらひ粉にて磨きあげたる貌へ、仙女香をすりこみし薄化粧は、ことさらに奥ゆかし」と春水もいっている。
— 九鬼周造 『「いき」の構造』 青空文庫
そこでフロイドの説の如く、人はその日常生活で抑壓され、ふだんに内攻してゐる性の欲求を、おのづから夢の中に變貌して表象する。
— 萩原朔太郎 『夢』 青空文庫
彼は自殺の一二年前から、その作品の風貌を全く変へたが、これがニイチェの影響であつたことは、その「歯車」「西方の人」「河童」等の作品によく現れて居る。
— 萩原朔太郎 『ニイチェに就いての雑感』 青空文庫
ニイチェは如何にその師匠に叛逆し、昔の先生を「老いたる詐欺師」と罵つたところで、結局やはりショーペンハウエルの変貌した弟子にすぎない。
— 萩原朔太郎 『ニイチェに就いての雑感』 青空文庫
恐ろしい山恐ろしい山の相貌をみたまつ暗な夜空にけむりを吹きあげてゐるおほきな蜘蛛のやうな眼である。
— 萩原朔太郎 『青猫』 青空文庫
すぐ近いところにそびえ怪異な相貌が食はうとする。
— 萩原朔太郎 『青猫』 青空文庫