ふと
ふと
副詞
標準
文例 · 用例
長男|義一はふとってつやつやしい赤い顔を、ふとんから落としてすやすや眠っている。
— 伊藤左千夫 『老獣医』 青空文庫
ふと考えてみるとまだ三日しか間がない 余りま近く重なるはよくあるまいかしらんと気がついたので。
— 伊藤左千夫 『根岸庵訪問の記』 青空文庫
少し悪口云ふと、歌海の航行に碇も持たず羅針盤も持たないで、行きあたりぱつたりに、航行してゐるやうに見えるのだ。
— 伊藤左千夫 『『悲しき玩具』を読む』 青空文庫
「たとへば我が良人、今|此処に戻らせ給ふとも、我れは恥かしさに面あかみて此膝なる文を取かくすべきか。
— 樋口一葉 『軒もる月』 青空文庫
殿、今もし此処におはしまして、例の辱けなき御詞の数々、さては恨みに憎くみのそひて御声あらく、さては勿躰なき御命いまを限りとの給ふとも、我れはこの眼の動かん物か、この胸の騒がんものか。
— 樋口一葉 『軒もる月』 青空文庫
傍には可愛き兒の寐姿みゆ、膝の上には無情の君よ我れを打捨て給ふかと、殿の御聲あり/\聞えて、外面には良人や戻らん更けたる月に霜さむし、たとへば我が良人今此處に戻らせ給ふとも、我れは恥かしさに面あかみて此膝なる文を取かくすべきか、恥づるは心の疚しければなり、何かは隱さん。
— 樋口一葉 『軒もる月』 青空文庫
殿、今もし此處におはしまして、例の辱けなき御詞の數々、さては恨みに憎みのそひて御聲あらく、さては勿躰なき御命いまを限りとの給ふとも、我れは此眼の動かんものか、此胸の騷がんものか、動くは逢見たき慾よりなり、騷ぐは下に戀しければなり。
— 樋口一葉 『軒もる月』 青空文庫
{1}『春色辰巳園』巻之七に「さぞ意気な年増になるだらうと思ふと、今ツから楽しみだわ」という言葉がある。
— 九鬼周造 『「いき」の構造』 青空文庫