紅露
こうろ
名詞
標準
文例 · 用例
その時分、文壇の機運はいよいよ益々爛熟し、紅露は相対塁して互に覇を称し、鴎外は千朶山房に群賢を集めて獅子吼し、逍遥は門下の才俊を率いて早稲田に威武を張り、樗牛は新たに起って旗幟を振い、四方の英才|俊髦一時に崛起して雄を競うていた。
— 内田魯庵 『二葉亭四迷の一生』 青空文庫
又こゝに奇妙なことには、とうにその昔「紅露時代」を荷なはれた先生が亡くなられたことは、それが「今」ではなく、紅露と並んでうたはれた時代の立役団十郎、菊五郎などの死んだのが、又々逆に「昔」ではないやうなまじり合つたアナクロニズムを感じることである。
— 木村荘八 『東京の風俗』 青空文庫
明治時代には「紅露」といわれて、紅葉と露伴とが二大作家として拮抗していたが、師匠思いの鏡花は、そんな関係から露伴には妙な敵意を感じていたらしい。
— 谷崎潤一郎 『文壇昔ばなし』 青空文庫
文壇で「紅露」が併称された如く、梨園では「団菊」といわれていたが、この方は舞台の人であるから、幸いにして私はこの二巨人の顔や声音を覚えている。
— 谷崎潤一郎 『文壇昔ばなし』 青空文庫