焔色
ほむらいろ
名詞
標準
文例 · 用例
火に入れば熱い焔色、燻りむせる煙に巻かれれば見わけのつかない煤色になって、恐れて逃る人間達を導き導き空気とともに勇気を与え、必要な次の営みにつかせます。
— 宮本百合子 『対話』 青空文庫
胸といわず裾といわず、歓びを告げる平和な焔色にきらめき渡る頂に、澄んだ彼女の碧い二つの瞳ばかりが、気高い天の守りのように見えるのでした。
— 宮本百合子 『ようか月の晩』 青空文庫
五年計画で電力(=水仕かけの滝を見せ)、石炭(=焔色の男がとび廻る)、石油を見せたはよいが、五年計画は何で表現されるかと思うと、何だかいやに神秘的な色のヴェールをひるがえして、さながらニムフの如き女が五人で、極めて非生産作業的なくにゃくにゃ踊りをするのだ。
— 観劇日記(一九二九―一九三〇年) 『日記』 青空文庫
ほら」 商人はうまく光線を受けて、虫の卵ほどの宝石をきらりと、燐光のような焔色に閃かせた。
— 宮本百合子 『古き小画』 青空文庫
異様に白く、或は金焔色に鱗片が燦めき、厚手に装飾的な感じがひろ子に支那の瑪瑙や玉の造花を連想させた。
— 宮本百合子 『高台寺』 青空文庫
ピラピラする透明な焔色を見守り、みのえは変に夢中な気持になって湯の沸くのを待った。
— 宮本百合子 『未開な風景』 青空文庫
その焔色の周囲に、冷却した部分が、世にも鮮やかな黄色の鐘乳石のように凝固している。
— 宮本百合子 『伸子』 青空文庫
窓から凝っと自然を眺め、ライラック色の砂地、濃紫と鋭い金色の山巓、微に消える焔色の空を見詰めたら、人は我身を忘れるだろう。
— 宮本百合子 『南路』 青空文庫