黙諾
もくだく
名詞動詞-サ変動詞-他動詞
標準
tacit consent
文例 · 用例
勿論、淫魔を駆って風紀を振粛し、且つ国民の遊惰を喝破する事業じゃから、父爺も黙諾の形じゃで、手下は自在に動くよ。
— 泉鏡花 『黒百合』 青空文庫
で――この事たるや、夫の医学士、名は理順と云う――院長は余り賛成はしないのだけれども、病人を慰めるという仕事は、いかなる貴婦人がなすっても仔細ない美徳であるし、両親もたって希望なり、不問に附して黙諾の体でいる。
— 泉鏡花 『婦系図』 青空文庫
「品物を好くして、安く勉強すると云うなら、どこで拵えるのも同じだから、学生を勧誘するのも君の自由だがね」 事務員はそう云って、彼女の出入に黙諾を与えてくれたりした。
— 徳田秋声 『あらくれ』 青空文庫
その全集出版後、八年くらい経って堀辰雄の告別式のあった増上寺の廊下で、私は三好達治に会い、ずっと顔を近寄らせて堀もとうとう亡くなったという合言葉の黙諾で、ちょっと立話をしてお互にスズしい顔つきで別れた。
— 室生犀星 『我が愛する詩人の伝記』 青空文庫
「結構ですな」と白雲が如才なく同意を示すと、主人は手を打って人を呼び、筆墨の用意にとりかからせたが、それと聞いて、いやとも言わず、黙諾の形を示していた児島なにがしといわれた武士は、「いいですか、せっかくの名作を汚してもかまいませんか」「どうぞ御遠慮なく」と白雲が、やはり如才なく言いました。
— 勿来の巻 『大菩薩峠』 青空文庫
「いけません、もう遅いですよ、黙っていたのは承知のしるしなんですからね」 いかにも、黙許とか、黙諾とかいう不文律はあるにはあるけれど、それをこの場合、米友に向って強圧的にはめ込もうとするお銀様の了見方がわからない。
— 新月の巻 『大菩薩峠』 青空文庫
それは自分の名にちなんだ菊の花を、薄紫地へ白に黄に大きく染め出した振袖であったが、その袖も袂も男の強い力に掴みひしがれて、美しい菊の花もくだくるばかりに揉み苦茶になった。
— 岡本綺堂 『番町皿屋敷』 青空文庫
同じ話をいちいち列挙するのもくだくだしいから、地名だけを註記のほうに記しておくことにいたします。
— 佐々木喜善 『東奥異聞』 青空文庫
作例 · 標準
反対意見も出たが、最終的には部長の黙諾を得てプロジェクトが動き出した。
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明確な許可はなかったものの、周囲の黙諾のもとで慣習的に行われてきた。
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彼は自分の失敗が上司に黙諾されていることに甘え、改善しようとしなかった。
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