焼石
やけいし
名詞
標準
文例 · 用例
足許一面に、熔岩や、焼石が狼藉して、歩きにくい。
— 小島烏水 『火と氷のシャスタ山』 青空文庫
萎えしぼんだ草樹も、その恵に依って、蘇生るのでありますが、しかしそれは、広大無辺な自然の力でなくっては出来ない事で、人間|業じゃ、なかなか焼石へ如露で振懸けるぐらいに過ぎますまい。
— 泉鏡花 『婦系図』 青空文庫
蚯蚓の骸の干乾びて、色黒く成りたるが、なかばなま/\しく、心ばかり蠢くに、赤き蟻の群りて湧くが如く働くのみ、葉末の揺るゝ風もあらで、平たき焼石の上に何とか言ふ、尾の尖の少し黒き蜻蛉の、ひたと居て動きもせざりき。
— 泉鏡花 『紫陽花』 青空文庫
自分を剖き分けて、近くへ寄ってみれば、焼石、焼灰の醜い心と身体、それは自分ながら吐き捨ててしまい度いようである。
— 岡本かの子 『富士』 青空文庫
この辺悉く裸山にして、往年白根噴火の名残として焼石の背を表わしているのと枯木の幹が白くなって立っている。
— 井沢衣水 『本州横断 痛快徒歩旅行』 青空文庫
一方、白根噴火口ヘ回った連中は、焼石のゴロゴロした中を辿って遂に頂の噴火口の辺へ出たそうである。
— 井沢衣水 『本州横断 痛快徒歩旅行』 青空文庫
」 手当はもとよりたいしたことは無く、背を焼かれるような病院の払いには焼石に水だったが、けれど全くはいらぬよりはましだと、君枝は早速自転車の稽古をはじめた。
— 織田作之助 『わが町』 青空文庫
が、焼石に水だった。
— 織田作之助 『夫婦善哉』 青空文庫