棺台
かんだい
名詞
標準
文例 · 用例
御坊は「今出しましょう」と断って、レールを二本前の方に継ぎ足しておいて、鉄の環に似たものを二つ棺台の端にかけたかと思うと、いきなりがらがらという音と共に、かの形を成さない一塊の焼残が四人の立っている鼻の下へ出て来た。
— 夏目漱石 『彼岸過迄』 青空文庫
ところが、その折彼等が、思わず固唾を嚥んだと云うのは、垂幕の裾から床の隅々にまで、送った光の中には、わずか棺台の脚が四本現われたのみで、そこには人影がないのだった。
— 小栗虫太郎 『黒死館殺人事件』 青空文庫
けっして喝采をうけるほどの終局じゃないけれども、まさかこの洪牙利の騎士が、犯人とは思いも寄らなかったよ」それ以前すでに、棺台の上が調査されていた。
— 小栗虫太郎 『黒死館殺人事件』 青空文庫
しかも、スリッパの跡は、中央にあってひときわ巨大な、算哲の棺台を目がけて、一文字に続いているのだ。
— 小栗虫太郎 『黒死館殺人事件』 青空文庫
恐らく、その時三人の心中には……算哲の棺台のみに脚がなくて、それが大理石の石積で作られていることから、たしか棺中にはファウスト博士の姿はなくて、そこからまた、地下に続く新しい坑道が設けられているように思われていた。
— 小栗虫太郎 『黒死館殺人事件』 青空文庫
」 こんなことを言つて、軽々とその棺を持つて、さながら小さな荷物でも運ぶやうにして、本堂の前の木階――それはひどく壊れた木階を上つて、賽銭箱の向うに置いてある棺台の上に置いた。
— 田山花袋 『ある僧の奇蹟』 青空文庫
棺台に載せて、四人して担いだ。
— 相馬泰三 『野の哄笑』 青空文庫
大きい松が二、三本、その下に石の棺台、――松の樹陰はようやく坊さんや遺族を覆うくらいで、会葬者は皆炎熱の太陽に照りつけられながら、芝生の上や畑の中に立っていました。
— 和辻哲郎 『土下座』 青空文庫