御記
ぎょき
名詞
標準
文例 · 用例
これこそ勇気であり、力であると御記憶ありたい。
— ――馬をさへ眺むる雪の朝かな―― 『碧眼托鉢』 青空文庫
御記憶がうすくなって居られると考えますが、二月頃、新宿のモナミで同人雑誌『青い鞭』のことでおめにかかり、そしてその時のわかれ方が非常に本意なく思われて、いつもすまなく感じていて、自分ひとりでわるびれた気持になっています。
— 太宰治 『虚構の春』 青空文庫
あなた方は生れて間も無い頃でしたから御記憶がないでしょうが、あなたのお母様や私共は本当に戦争の惨忍さを、まざまざ味わわされたのです。
— 岡本かの子 『母と娘』 青空文庫
讀者諸君は未だ御記臆だらう。
— 押川春浪 『海島冐檢奇譚 海底軍艦』 青空文庫
此人の名は讀者諸君の御記臆に存して居るか否か。
— 押川春浪 『海島冐檢奇譚 海底軍艦』 青空文庫
昔、大将の母君の葵夫人の葬送の夜明けのことを院は思い出しておいでになったが、その時はなお月の形が明瞭に見えた御記憶があった。
— 御法 『源氏物語』 青空文庫
(この点において善、美、壮に対する情操と時々衝突を起す事は文芸の哲学的基礎において述べましたし、前段においても一方が強くなると、一方が弱くなる事実を例証しましたから御記憶を願います)けれども真に向って進む人が必ずしも好悪のない人とは申されません。
— 夏目漱石 『創作家の態度』 青空文庫
そこで職業上における己のため人のためと云う事は以上のように御記憶を願っておいて、話がまた後戻りをする恐れがあるかも知れないが、前申した通り人文発達の順序として職業が大変割れて細かくなると妙な結果を我々に与えるものだからその結果を一口御話をして、そうして先へ進みたいと思います。
— 夏目漱石 『道楽と職業』 青空文庫