持ち役
もちやく
名詞
標準
文例 · 用例
持ち役そのままの傾城姿、奥州に早変りしたのです。
— 千代田城へ乗り込んだ退屈男 『旗本退屈男 第十一話』 青空文庫
役割は井生森又作、家根屋清次(左団次)春見丈助(権十郎)娘おいさ(莚女)清水重次郎(米蔵)姉おまき(秀調)で、左団次と秀調が初演以来の持ち役であるために、この狂言が選抜されたらしいが、その後どこの大劇場でも重ねて上演しないので、円朝物の中でも忘れられた物の一つとなった。
— 岡本綺堂 『寄席と芝居と』 青空文庫
取り持ち役のお竹はその場をはずして、観音の境内を半時ばかりも遊びあるいていた。
— 石燈籠 『半七捕物帳』 青空文庫
――12―― 帝劇のステージで智恵子は大喝采の中に持ち役をつとめ終った。
— 夢野久作 『黒白ストーリー』 青空文庫
その人物になり切ってしまう――見物の中にいい女がいようと、道具方が不行届であろうと、相手方がまずかろうと、人気があろうと無かろうと、そんな事は一切お構い無しに、すべての娑婆世界の利害損失の観念、即ち自己から離れてしまって、その持ち役の人物の性格や身の上を自分の事と思い込んで終う。
— 夢野久作 『鼻の表現』 青空文庫
その持ち役の人物と扮装と科白と仕草とに自分の本心を明け渡して終う。
— 夢野久作 『鼻の表現』 青空文庫
」「見たまえ、舞台の役者というものは、芝居全体のことよりも、それぞれの持ち役に一生懸命になり過ぎるようなところがあるね。
— 第二部上 『夜明け前』 青空文庫
二人が掛声も抜きに、一人に籾俵を背負わせると、その男は電気の持ち役に足元を照らされつつ長い踏板を伝って下りて行く。
— 金史良 『土城廊』 青空文庫