脊
せ
名詞
標準
文例 · 用例
捨てはてし身にも猶衣食のわづらひあれば、昼は※処となくさまよひて何となく使はれ、夜は一処不住の宿りに、かくても夢は結びつゝ、日一日とたゞよひにたゞよひて、過しゆくほどに、脊たけと共にのびゆくは、ねじけたる心なるべし。
— 樋口一葉 『琴の音』 青空文庫
捨てはてし身にも猶衣食のわづらひあれば、晝は※處となくさまよひて何となく使はれ、夜は一處不住の宿りに、かくても夢は結びつゝ、日一日とたゞよひにたゞよひて、過しゆくほどに、脊たけと共にのびゆくは、ねじけたる心なるべし。
— 樋口一葉 『琴の音』 青空文庫
有機體の生命本能によつて、衝動のままに行爲してゐる、細菌や蟲ケラ共の物理學的な生活と、我我人間共の理性的な生活とは、少し離れた距離から見れば、蚯蚓と脊椎動物との生態に於ける、僅かばかりの相違にすぎない。
— 萩原朔太郎 『宿命』 青空文庫
危險なる新光線疾患せる植物及び動物の脊髓より發光するところの螢光又はラジウム性放射線が、如何に我我の健康に有害なるかを想へ、斯くの如き光線は人身をして糜爛せしめ、侵蝕せしめずんば止まず。
— 萩原朔太郎 『散文詩・詩的散文』 青空文庫
なぜと言って実際に「詩を作らない詩人」という如き命題は、「脊椎のない脊椎動物」というにひとしく、奇怪な言語上のトリックであり、事実としては無いところの、思弁上の抽象概念に属している。
— 萩原朔太郎 『詩の原理』 青空文庫
汗でシャツは脊中にクツツク……。
— 中原中也 『分らないもの』 青空文庫
(立ちながら休むときは、脊の担い梯子へ、息杖を当てがって、肩を緩めるので「一本立てる」というのである。
— 小島烏水 『槍ヶ岳第三回登山』 青空文庫
白花という名を冠らせるくらいだから白くはあるが、花冠の脊には、岩魚の皮膚のような、薄紅の曇りが潮し、花柱を取り巻いた五裂した花冠が、十個の雄蕊を抱き合うようにして漏斗の鉢のように開いている。
— 小島烏水 『不尽の高根』 青空文庫