幻辞.com

馴棹

馴棹
名詞
1
標準
文例 · 用例
靜けき夕の心やりか、※乃一ふし歌ひさして、ほのかに笑まひぬ、水馴棹にくだくる小波をあとに見つつ人皆煩らふ空のもとに、自然の愛子か、君はひとり赤丹穗に見る顏の色に、心の平和うかがわれぬ。
薄田泣菫 泣菫詩抄 青空文庫
それを、米友ほどの豪傑が、水馴棹を取落さぬばかりに驚いて、「あっ!
恐山の巻 大菩薩峠 青空文庫
伏鐘の三羽烏といわれる毛抜の音、阿弥陀の六蔵、駿河の為と、この三人はもちろん、船頭に化けて水馴棹をつかっていた一味十二人、そのままそっくりこっちの網に入りました」「そんならなんでこんな騒ぎをする」「いけないことには、伏鐘重三郎が茅場町あたりで上ってしまったんです。
両国の大鯨 顎十郎捕物帳 青空文庫
眠元朗は水馴棹を把った。
室生犀星 みずうみ 青空文庫
眠元朗はその娘の瞳を悲しげに眺め、なかば諦めたような顔つきをして、ぐいと、水馴棹を立てると、大きな島影は石油色をした虹のような小波を立てて、ゆらりとその静かな影を揺れくずし初めた。
室生犀星 みずうみ 青空文庫
」 と鮮やかな水馴棹は、たちまち舸を本流へ出して、向う岸へと突ッ切って行った。
吉川英治 剣難女難 青空文庫
「いや、何気のう河原の小舟に乗りとうなって、独りで水馴棹を持ってみたが、舟と水とは相性のものと思うていたが、さて流れに出てみると、なかなかままに動かぬものじゃな。
第二分冊 新書太閤記 青空文庫
で、じつは俄に」「えっ」 菊王の手の水馴棹が、水の中で、ぶると顫えた。
みなかみ帖 私本太平記 青空文庫