幽人
ゆうじん
名詞
標準
文例 · 用例
反歌女童はほのかなりしか小硯の赤間が石に墨片|避けて雲畦先生幽人雲畦先生は我が書の師なりき。
— 北原白秋 『夢殿』 青空文庫
幽人高士のあまりに少い今の乱脈さは、その気品の低く、香気の薄く、守ることの浅い不見識は、あの市井無頼の徒たりとも口にすることを恥ずる暴言と態度の賤鄙と(いや、それよりも下俗な覆面の残虐と私情の悪罵と)あの卑劣とは何事であろう。
— 北原白秋 『フレップ・トリップ』 青空文庫
いまごろ、この二幽人は三途の川の土手あたりで久濶を叙しながら、互いに微苦笑を交していることであろう。
— 佐藤垢石 『春宵因縁談』 青空文庫
私が二幽人の微苦笑の面を想像したには意味があるのである。
— 佐藤垢石 『春宵因縁談』 青空文庫
仕事場に立って、鎚を把ればさながら鬼、深夜、土や焼刃の思念に痩せ苦しむ影はまるで現な幽人であった。
— 吉川英治 『山浦清麿』 青空文庫
卜幽人見又左――そのひとの浪宅はむかしに変らずあるが、そのひとはすでに世に亡かった。
— 吉川英治 『梅里先生行状記』 青空文庫
藩の抱え儒者、卜幽人見又左と辻了的のふたりは、ある折、(どうだ、おん身方も、せっかくの学問を、この大業にうちこめば、死しても、本望であるまいか。
— 吉川英治 『梅里先生行状記』 青空文庫
(何かわしは、学問の根柢からすこし考え直す必要をおぼえてきた) 卜幽人見又左はその帰り途で、しみじみと、辻了的に告白した。
— 吉川英治 『梅里先生行状記』 青空文庫