悪謀
あくぼう
名詞
標準
文例 · 用例
尼がかく詛うたは、宿主の悪謀を、その妻が諫めたというような事があった故であろう。
— 鶏に関する伝説 『十二支考』 青空文庫
悪謀に邪魔になる人間は、戦場に送るのが一番ですからね」「……でしょう……ですから僕は、僕の財産の一切を妻のイッポリタに譲るという遺言書と一緒に、色々な証書や、家に伝わった宝石や何かの全部を詰め込んだ金庫の鍵を、戦線に持って来てしまったんです。
— 夢野久作 『戦場』 青空文庫
凝つと考へ込んでゐる彼の様子を見て、悪謀みでも思案してゐるのだらう?
— 牧野信一 『裸虫抄』 青空文庫
雪之丞が、孤軒老師の訓えのままに投げた、恐ろしい暗示によって動いた、長い間、悪謀をともにして来た、言わば親友の広海屋の詐略のために、ふたたび起つあたわぬ打撃をうけてしまった。
— 三上於菟吉 『雪之丞変化』 青空文庫
第一に、悪謀をすすめたのは、これなる三郎兵衛――」「又しても、わしをいうか!
— 三上於菟吉 『雪之丞変化』 青空文庫
「誠の事情は相談ずくで、右衛門さんと別れたと見せ、紋十郎に油断をさせ、彼奴の恐ろしい悪謀をそれとなく聴き出して、右衛門さんに知らせるのが手段……」「して紋十郎の悪謀とは?
— 国枝史郎 『蔦葛木曽棧』 青空文庫
私の顔を潰す為めに」「さあ」「始終橋本さんへ上って、お喋りばかりしていらっしゃるんですから、出し抜いたに定っていますわ」「それほど悪謀のある人でもあるまい」「変な人ね、あなたは」「何だい?
— 佐々木邦 『求婚三銃士』 青空文庫
しかも江戸へ迎えられてゆく現在、なおその蔭になにやら悪謀めかしい企みがあることを思えば、今後の運命もまた非なりと云わざるを得まい。
— 山本周五郎 『若殿女難記』 青空文庫