玩
玩
名詞
標準
文例 · 用例
『一握の砂』と『悲しき玩具』との二詩集を明治の詞壇に寄与した許りで死なれた。
— 伊藤左千夫 『『悲しき玩具』を読む』 青空文庫
石川君は『歌は私の悲しい玩具である』と云つてる。
— 伊藤左千夫 『『悲しき玩具』を読む』 青空文庫
さうである、石川君の歌は石川君の玩具であらう。
— 伊藤左千夫 『『悲しき玩具』を読む』 青空文庫
吾輩は我が生んだ子を、親の為に許りの考で育てたくないやうに、我が作つた歌を、我が玩具として終ひたくない、我を伝ふる犠牲として終ひたくない。
— 伊藤左千夫 『『悲しき玩具』を読む』 青空文庫
ボードレールの猫は我々の見る普通の西洋猫だが、へんな惡魔主義の玩具である。
— 萩原朔太郎 『定本青猫』 青空文庫
これを書いたときには、何といふわけもなくブリキ製の玩具の笛のやうな鋭い細い音色を出す、一種の神經的に光つた物象が、そのときの私の感情をいたいたしく刺激したので、その氣分をそのまま正直に表現したのである。
— 萩原朔太郎 『散文詩・詩的散文』 青空文庫
そして、芸術(表現)は、かかるイデヤに対するあこがれであり、勇躍への意志であり、もしくは嘆息であり、祈祷であり、或は絶望の果敢なき慰め――悲しき玩具――であるにすぎない。
— 萩原朔太郎 『詩の原理』 青空文庫
作家自身の態度としては、芸術が慰安的な「悲しき玩具」であろうとも、或は生命がけな「真剣な仕事」であろうとも、批判する側には関係がなく、何れにせよ表現の魅力を有し、作品として感動させてくれるものが好いので、芸術の批判は芸術に於てのみなされるのだ。
— 萩原朔太郎 『詩の原理』 青空文庫