偽善的
ぎぜんてき
形容動詞
標準
hypocritical
文例 · 用例
私が土地解放の社会的影響や私が既に充分に生活の安定を得て居り乍ら斯かる偽善的な行動をしたと云はれる非難に対して甚だ御尤もなる御説と恐縮する所であるが併し私にも多少の弁明は出来る積りです。
— 有島武郎 『狩太農場の解放』 青空文庫
裸足になつてはひらうかとも思つたが、それはN君をただ恐縮させるばかりの大袈裟な偽善的な仕草に似てゐるやうにも思はれて、裸足にもなれなかつた。
— 太宰治 『津軽』 青空文庫
だから、私は私を悪評した人の文章を、腹いせ的に悪評して、その人の心を不愉快にするよりは、その人の文章を口を極めてほめるという偽善的態度をとりたいくらいである。
— 織田作之助 『可能性の文学』 青空文庫
恐ろしいような気味の悪いような心持ちが、よぼよぼした見すぼらしいさまで、おとよ不埒をやせ我慢に偽善的にいうのだ。
— 伊藤左千夫 『隣の嫁』 青空文庫
どんなに自分が無内容でも、卑劣でも、偽善的でも、世の中にはそんな仲間ばかり、ごまんといるのだから、何も苦しんで、ぶちこわしの嫌がらせを言う必要はないだろう、出世をすればいいのだ、教授という肩書を得ればいいのだ、などとひそかにお思いになっていらっしゃるのなら、我また何をか言わんやである。
— 太宰治 『如是我聞』 青空文庫
そう言明するのが、どれ程偽善的な行為であるぞとの非難が、当然|喚び起されるのを知らない私ではない。
— 有島武郎 『惜みなく愛は奪う』 青空文庫
男の子との自然で暢び暢びした交渉が行われれば晴れやかに放散される筈の感情が、周囲の事情によって我知らず偽善的に鬱屈して妙に同性愛的傾向をとるのであろう。
— 宮本百合子 『昨今の話題を』 青空文庫
よく、日本の女は一寸した親切にもほだされるといわれているが、女に対する劬りというものが、欠けている日本の習俗の中では、外国人の男のそういう礼の表面的な、或る場合偽善的な謂わば折りかがみさえ、感情の上に何かの甘味を落すのであろう。
— ――世相寸評―― 『日本の秋色』 青空文庫