猾
猾
名詞
標準
文例 · 用例
あの小さな狡猾さうな眼をした、梟のやうな哲学者ショーペンハウエルは、彼の暗い洞窟の中から人生を隙見して、無限の退屈な欠伸をしながら、厭がらせの皮肉ばかりを言ひ続けた。
— 萩原朔太郎 『ニイチェに就いての雑感』 青空文庫
女よそのごむのごとき乳房をもてあまりに強くわが胸を壓するなかれまた魚のごときゆびさきもてあまりに狡猾にわが背中をばくすぐるなかれ女よああそのかぐはしき吐息もてあまりにちかくわが顏をみつむるなかれ女よそのたはむれをやめよいつもかくするゆゑに女よ 汝はかなし。
— 萩原朔太郎 『純情小曲集』 青空文庫
これは校長が若い時分から、自分の生来根太い狡猾な性質に困り果てながら、聖賢の書を漁つた時に、始終心で云つてたことが、今生徒を前にした今、形を取つて表れて来たのである。
— 中原中也 『校長』 青空文庫
それは、狡猾である。
— 太宰治 『如是我聞』 青空文庫
所詮、君たちは、なまけもので、そうして狡猾にごまかしているだけなのである。
— 太宰治 『如是我聞』 青空文庫
私は無智驕慢の無頼漢、または白痴、または下等|狡猾の好色漢、にせ天才の詐欺師、ぜいたく三昧の暮しをして、金につまると狂言自殺をして田舎の親たちを、おどかす。
— 太宰治 『東京八景』 青空文庫
狡猾であり、詭計を以て掠め取るということ。
— 太宰治 『パウロの混乱』 青空文庫
その時お傍の私たちも、それを拝見いたしましたが、いかにもひどい、たどたどしい御文脈で、そのくせ変に野暮つたい狡猾なところもあり、将軍家が無邪気にお笑ひなされたのも、もつともと思ひました。
— 太宰治 『右大臣実朝』 青空文庫