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紅絹

もみ
名詞
1
標準
文例 · 用例
それから政夫さん、こういう訣です……夜が明けてから、枕を直させます時、あれの母が見つけました、民子は左の手に紅絹の切れに包んだ小さな物を握ってその手を胸へ乗せているのです。
伊藤左千夫 野菊の墓 青空文庫
犬張子が横に寝て、起上り小法師のころりと坐った、縁台に、はりもの板を斜めにして、添乳の衣紋も繕わず、姉さんかぶりを軽くして、襷がけの二の腕あたり、日ざしに惜気なけれども、都育ちの白やかに、紅絹の切をぴたぴたと、指を反らした手の捌き、波の音のしらべに連れて、琴の糸を辿るよう、世帯染みたがなお優しい。
泉鏡花 海異記 青空文庫
」と紅絹切の小耳を細かく、ちょいちょいちょいと伸していう。
泉鏡花 海異記 青空文庫
」 とうら寂しげな夕間暮、生干の紅絹も黒ずんで、四辺はものの磯の風。
泉鏡花 海異記 青空文庫
若い男が倒れていてな、……川向うの新地帰りで、――小母さんもちょっと見知っている、ちとたりないほどの色男なんだ――それが……医師も駆附けて、身体を検べると、あんぐり開けた、口一杯に、紅絹の糠袋……」「…………」「糠袋を頬張って、それが咽喉に詰って、息が塞って死んだのだ。
泉鏡花 絵本の春 青空文庫
撫肩の懐手、すらりと襟を辷らした、紅の襦袢の袖に片手を包んだ頤深く、清らか耳許すっきりと、湯上りの紅絹の糠袋を皚歯に噛んだ趣して、頬も白々と差俯向いた、黒繻子冷たき雪なす頸、これが白露かと、一目見ると、後姿でゾッとする。
泉鏡花 菎蒻本 青空文庫
餘りの不状に、娘の方が、優い顏をぽつと目瞼に色を染め、膝まで卷いて友禪に、ふくら脛の雪を合はせて、紅絹の影を流に散らして立つた。
泉鏡花 城崎を憶ふ 青空文庫
』と、止め兼たる喜悦の涙をソツと紅絹の手巾に押拭ふ。
押川春浪 海島冐檢奇譚 海底軍艦 青空文庫
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紅絹(もみ)とは絹織物の一種。真赤に無地染めにした薄地の平絹のことをいう。

出典: 紅絹 — ウィキペディア / CC BY-SA 4.0