劣情
れつじょう
名詞
標準
animal passions
文例 · 用例
宗右衛門のその時の性慾は、単なる肉体の劣情ばかりではなかつた。
— 岡本かの子 『老主の一時期』 青空文庫
或は劣情と呼び、或は聖情と称ふ、何を以て劣と聖との別をなす、何が故に一は劣にして、一は聖なる、若し人間の細小なる眼界を離れて、造化の広濶なる妙機を窺えば、孰を聖と呼び、孰れを劣と称ぶを容るさむ。
— 北村透谷 『「桂川」(吊歌)を評して情死に及ぶ』 青空文庫
下司と、鈍痴と、劣情を兼ね備えた奴として、この魔法にかからずにいられますか。
— 泉鏡花 『雪柳』 青空文庫
……夫人がその地位も名誉も、子供に対する愛も否その生命までも犠牲にして肯定しようとした愛は、世間の人たちが言うような単なる劣情のためではなく、夫人の現実の生活よりももっと真実な、もっと純な、もっと高い、そしてもっと美しい情操の世界に対する憧れであったのだろうと思います。
— 長谷川時雨 『芳川鎌子』 青空文庫
私は身体が、ふわふわとなったように感じたが、それは、こんな美しい人が、自分のような者を手頼って来てくれた、という事に対しての感謝で、劣情などの如きは神様に食わしてしまえと「布団を、じゃ、借りてきて」「ええ」 素直に答えたが、この女は私を獲ようとして、大阪から出てきたのである。
— 直木三十五 『死までを語る』 青空文庫
そのくせ私の瞬間の脳裡には、汚辱の中の聖霊の代りに、モナリザの淫らな眼が映り、私の飽食を忘れた劣情がそれをめぐつて蠢めくことを忘れてはゐない、その愚かさを白状しなければならないのか?
— 坂口安吾 『をみな』 青空文庫
私は然し劣情をころし、そういう時には、決して、狎れず、ただ忠僕の誠意のみをヒレキする。
— ――ゴロー三船とマゴコロの手記―― 『ジロリの女』 青空文庫
第二百六十一 料理の粋 中川は大に説あり「小山君、その事については第一番に人の心から負惜しみという劣情を引去らなければならん。
— 秋の巻 『食道楽』 青空文庫
作例 · 標準
映画の悪役は、富と権力に対する抑えきれない劣情に突き動かされて破滅へと向かっていった。
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彼は酒に酔った勢いで湧き上がった劣情を抑えられず、後戻りできない過ちを犯してしまった。
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彼女の挑発的な態度は、周囲の男たちの劣情を煽るために計算し尽くされたものだった。
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