御都合
ごつごう
名詞
標準
文例 · 用例
私がこんなことを申してはおかしいですが、政夫さんとお民さんとは、あアして仲好くして居たのを、何かの御都合で急にお別れなさったもんですから、それからというもの、お民さんは可哀相なほど元気がないのです。
— 伊藤左千夫 『野菊の墓』 青空文庫
故人北原多作氏のごとき少数な篤学の官吏の終生の努力と熱心によってようやく水産に聯関した海洋調査がやや系統的に行われるようになりはしたが、自分の知る限りでは時々の政府の科学的理解のない官僚の気まぐれなその日その日の御都合による朝令暮改の嵐にこの調査の系統が吹き乱される憂いが多分にあった。
— 寺田寅彦 『新春偶語』 青空文庫
平時だと御宅へ上るんだけれど、今日の慈善会には、御都合で貴女も出掛けると云うから、珍らしくはないが、また浅間へ行って、豆か麩を食わしとるですかな。
— 泉鏡花 『婦系図』 青空文庫
ああ、もし、もし、」 と出掛けた白衣の、腰の肥いのを呼留めて、「御書見中ででもありましたら、御都合に因って、こちらから参りましても可うございますと。
— 泉鏡花 『婦系図』 青空文庫
前世の業と断念めて、せめて近所で、蕎麦か饂飩の御都合はなるまいか、と恐る恐る申し出ると、饂飩なら聞いてみましょう。
— 泉鏡花 『眉かくしの霊』 青空文庫
……」 六「――どんな用事の御都合にいたせ、夜中、近所が静まりましてから、お艶様が、おたずねになろうというのが、代官婆の処と承っては、一人ではお出し申されません。
— 泉鏡花 『眉かくしの霊』 青空文庫
…… ――御都合で、今日、御案内かたがた、手前も拝見をしましても……」「願う処ですな。
— 泉鏡花 『半島一奇抄』 青空文庫
」 小鼻に皺を寄せて、黒子に網の目の筋を刻み、「御都合じゃからお蝋は上げぬようにと言うのじゃ。
— 泉鏡花 『菎蒻本』 青空文庫