寝乱
ねらん
名詞
標準
文例 · 用例
背後について、長襦袢するすると、伊達巻ばかりに羽織という、しどけない寝乱れ姿で、しかも湯上りの化粧の香が、月に脈うって、ぽっと霧へ移る。
— 泉鏡花 『みさごの鮨』 青空文庫
……友染の夜具に、裾は消えるように細りしても――寝乱れよ、おじさん、家業で芸妓衆のなんか馴れていても、女中だって堅い素人なんでしょう。
— 泉鏡花 『古狢』 青空文庫
…… ここで逢うのは、旅路|遥な他国の廓で、夜更けて寝乱れた従妹にめぐり合って、すがり寄る、手の緋縮緬は心の通う同じ骨肉の血であるがごとく胸をそそられたのである。
— 泉鏡花 『第二菎蒻本』 青空文庫
名代の女房の色っぽいのが、長火鉢の帳場奥から、寝乱れながら、艶々とした円髷で、脛も白やかに起きてよ、達手巻ばかり、引掛けた羽織の裏にも起居の膝にも、浅黄縮緬がちらちらしているんだ。
— 泉鏡花 『薄紅梅』 青空文庫
霧雨はいつの間にか晴れて、道は秋草の寝乱れて居る赫土の坂を上り、ポロ競技場が彼の眼の前に展開された。
— 岡本かの子 『ドーヴィル物語』 青空文庫
女は寝乱れた髪もそのまま、男と並んで半身を窓から出した。
— 岡本かの子 『窓』 青空文庫
前後左右は、どのくらいあるか分らず、凄くて※すことさえならぬ、蚊帳に寂しき寝乱れ姿。
— 泉鏡花 『悪獣篇』 青空文庫
同じ戸棚が左右に二個、別に真中にずっと高いのを挟んで、それには真白な切が懸っていた、と寝乱れた浴衣の、胸越に伺う……と白い。
— 泉鏡花 『沼夫人』 青空文庫