満韓
まんかん
名詞
標準
文例 · 用例
長塚君は余の「朝日」に書いた「満韓ところどころ」というものをSの所で一回読んで、漱石という男は人を馬鹿にして居るといって大いに憤慨したそうである。
— ――長塚節著『土』序―― 『『土』に就て』 青空文庫
「満韓ところどころ」抔が君の気色を害したのは左もあるべきだと思う。
— ――長塚節著『土』序―― 『『土』に就て』 青空文庫
長塚君はたまたま「満韓ところどころ」の一回を見て余の浮薄を憤ったのだろうが、同じ余の手になった外のものに偶然眼を触れたら、或は反対の感を起すかも知れない。
— ――長塚節著『土』序―― 『『土』に就て』 青空文庫
もし余が徹頭徹尾「満韓ところどころ」のうちで、長塚君の気に入らない一回を以て終始するならば、到底長塚君の「土」の為に是程言辞を費やす事は出来ない理窟だからである。
— ――長塚節著『土』序―― 『『土』に就て』 青空文庫
此処に来るといふあてがなければ――その遠いハルピンに行けばあの時子に逢へるといふ人知れぬ秘密の希望を持つてゐなければ、Bは決して今度の満韓旅行を承諾しなかつたに相違なかつた。
— 田山録弥 『時子』 青空文庫
Bは満韓の到るところをかの女と一緒に歩いたことを繰返した。
— 田山録弥 『時子』 青空文庫
当時国内には、或は清国分割を主張するものあり、或は満韓交換を説くものありて、国論紛々帰著する所なく、特に政友会は、総務委員会を開きて国民同盟会の行動を非認するの决議を為したりき。
— 鳥谷部春汀 『明治人物月旦(抄)』 青空文庫
十月に入って師匠が稽古に出られる頃にはその年は折悪しく主人のヨウさんが会社の用で満韓へ出張という次第。
— 永井荷風 『雨瀟瀟』 青空文庫