来得
らいとく
名詞
標準
文例 · 用例
もちろん翻訳ではあるが、僕は小説というものは、吾々の感じを満足させるようなものはとても出来ないものとキメてしまった、今までは小説についていくらか迷っていたが、とても吾々を満足させる小説は出来得ないものとキメてしまった。
— 伊藤左千夫 『竹乃里人』 青空文庫
媚態の要は、距離を出来得る限り接近せしめつつ、距離の差が極限に達せざることである。
— 九鬼周造 『「いき」の構造』 青空文庫
生活と密接な具体的関係にある言葉は雰囲気の情調を満喫していて他国語への翻訳が困難であるには相違ないが、それも程度の問題であって、外来語の国訳へ向って出来得る限りの努力が払われなくてはならない。
— 九鬼周造 『外来語所感』 青空文庫
」 父は私の小さい時から、内から外へは出来得る限り出さなかつた。
— 中原中也 『その頃の生活』 青空文庫
科学者としては、世間に対する自分の義務として、出来得る限りは、世間からの要求に応じなければならないと考える人は、むしろ多数であろう。
— 寺田寅彦 『雑記(1)』 青空文庫
物理の実験である予定の結果に到達しようとするには、その結果を支配し得べきあらゆる条件要素を考えてみて、眼前の目的とする原因のみを特に作用させ他の要素は出来得る限りこれを除き、簡単にしあるいは一定にしなければならぬ。
— 寺田寅彦 『物理学実験の教授について』 青空文庫
賞めたくて堪らないが賞め場所の見付からない絵は出来得ないものだろうか。
— 寺田寅彦 『帝展を見ざるの記』 青空文庫
弟を愛して、――それが出来得る事でも出来ない事でも、その身代りに死ぬと云って覚悟をしている大病人。
— 泉鏡花 『吉原新話』 青空文庫