小袴
こばかま
名詞
標準
文例 · 用例
その一つは、萌黄匂の鎧で、それに鍬形五枚立の兜を載せたほか、毘沙門篠の両|籠罩、小袴、脛当、鞠沓までもつけた本格の武者装束。
— 小栗虫太郎 『黒死館殺人事件』 青空文庫
そして、傷口から流れ出たドス黒い血は、小袴から鞠沓の中にまで滴り落ちていて、すでに体温は去り、硬直は下顎骨に始まっていて、優に死後二時間は経過しているものと思われた。
— 小栗虫太郎 『黒死館殺人事件』 青空文庫
陣笠|小袴で馬に跨り、持鑓を竪てさせている。
— 森鴎外 『堺事件』 青空文庫
箕浦は黒羅紗の羽織に小袴を着して、切腹の座に着いた。
— 森鴎外 『堺事件』 青空文庫
楓は起って蒲簾をまけば、伊豆の夜叉王、五十余歳、烏帽子、筒袖、小袴にて、鑿と槌とを持ち、木彫の仮面を打っている。
— 岡本綺堂 『修禅寺物語』 青空文庫
楓は起つて蒲簾をまけば、伊豆の夜叉王、五十餘歳、烏帽子、筒袖、小袴にて、鑿と槌とを持ち、木彫の假面を打つてゐる。
— 岡本綺堂 『修禪寺物語』 青空文庫
其処には明珍長門家政作の甲冑を著けて錦の小袴を穿き、それに相州行光作の太刀を佩いた権兵衛|政利が、海の方に向けてしつらえた祭壇の前にひざまずいていた。
— 田中貢太郎 『海神に祈る』 青空文庫
翌朝になって下僚の者が往ったところで、権兵衛は祭壇の前で割腹していたが、未明に割腹したものと見えて、錦の小袴を染めている血に温みがあった。
— 田中貢太郎 『海神に祈る』 青空文庫