色街
いろまち
名詞
標準
文例 · 用例
寺の角から新堀伝いの左へ下ると、退屈男とはめぐる因果の小車のごとくに、切っても切れぬ縁の深い新吉原の色街でした。
— 江戸に帰った退屈男 『旗本退屈男 第九話』 青空文庫
暇があらば人間、色街にも出入りしておくものじゃな」 呟いていたかと見えましたが、間をおかないで鋭い質問の矢が飛びました。
— 旗本退屈男 『旗本退屈男 第一話』 青空文庫
壮麗な建物の打ち続いた、美しい花魁の行き交うている、錦絵にあるような色街だったのです。
— 菊池寛 『島原心中』 青空文庫
が、俥がそれらしい大門を通りすぎて、廓の中へ駆け込んだとき、下ろした幌のセルロイドの窓から十一月の鈍い午後の日光のうちに、澱んだように立ち並んでいる、屋根の低い朽ちかけているような建物を見たときに、それが名高い色街であるというだけに、いっそう悲惨なあさましいような気がしたのです。
— 菊池寛 『島原心中』 青空文庫
その成斎の弟子に、度々色街へ出掛けて、女狂ひに憂身を窶してゐる男があつた。
— 大正五(一九一六)年 『茶話』 青空文庫
貯金筒9・5(夕) 色街で女買をするのを男の自慢のやうに心得てゐる男が一年程過ぎて算盤を取つて見ると、費が思つたよりは意外に嵩んでゐるのに気が注いた。
— 大正五(一九一六)年 『茶話』 青空文庫
倉田工業から電車路に出ると、その一帯は「色街」になっていた。
— 小林多喜二 『党生活者』 青空文庫
遊女街の中央でただ一軒伯母の家だけ製糸をしていたので、私は周囲にひしめき並んだ色街の子供たちとも、いつのまにか遊ぶようになったりした。
— 横光利一 『洋灯』 青空文庫