田舎相撲
いなかずもう
名詞
標準
文例 · 用例
道節を除いては、小文吾が曳手・単節を送って途中で二人を乗せた馬に駈け出されて見失ってしまったり、荒野猪を踏み殺して牙に掛けられた猟師を助けたはイイが、恩を仇の泥棒猟師の女房にコロリと一杯喰ってアベコベにフン縛られる田舎相撲らしい総身に知恵の廻り兼ぬるドジを時々踏むほかは、皆余りに出来過ぎている。
— 内田魯庵 『八犬伝談余』 青空文庫
ははあ――興行だな、芝居ではない、相撲だな、この景気で見ると、まんざら田舎相撲とも思われない、江戸か上方、いずれ大相撲の一行が、この辺で打っているのだな―― まもなく、櫓太鼓の勇ましい音。
— 年魚市の巻 『大菩薩峠』 青空文庫
この浦にも、田舎相撲の関取株も来ているが、どうも、このマドロス君の手に立つのはないらしい。
— Ocean の巻 『大菩薩峠』 青空文庫
此の相撲場は細川越中守様御免の相撲場ということで、木村權六という人が只今|以て住んで居ります、縮緬の幕張りを致して、田舎相撲でも立派な者で近郷からも随分見物が参ります、此処に参っている関取は花車重吉という、先達私古い番附を見ましたが、成程西の二段目の末から二番目に居ります。
— 三遊亭圓朝 『真景累ヶ淵』 青空文庫
一人は四十五六の田舎相撲のような恰幅のいい眼玉の大きな男、一人は五十ぐらいの塩の勝った胡麻塩の髪を雀の巣のように取乱したあるかなしかというような小柄な人物。
— 久生十蘭 『魔都』 青空文庫
幸田は田舎相撲のように小肥りした身体を揺がせながら長火鉢の向うへ押し通り、大きな座蒲団の上に地響きを立てて胡坐をかくと、下から酒月の顔を見上げ、「おい、酒月」 と唸るように呼びかける。
— 久生十蘭 『魔都』 青空文庫
幸田は田舎相撲のような盛り上った膝を揺すりながら、「花ちゃん、そう恐がらんでもいいさ。
— 久生十蘭 『魔都』 青空文庫
これも小田内通敏氏の談であるが、五城目近在の木樵でかねて田舎相撲の心得ある某、或る日山で働いて木を負うて立とうとすると不意に山男が出てきて相撲を取ろうと言うて留めた。
— 柳田国男 『山の人生』 青空文庫