市民的
しみんてき
名詞
標準
文例 · 用例
ファシズム諸国は、近代的な国家の形成の過程でヨーロッパが先頭に立って育んできた市民的な価値を否定した。
— 富田倫生 『本の未来』 青空文庫
要するに彼は、設し此時だけにもしろ、味が薄いが、簡にして要を得た市民的生活が氣に適ツたのであつた。
— 三島霜川 『平民の娘』 青空文庫
それと同様に我々はモヂリアニの小市民的哀愁や、彼のもつ詩味などに共鳴を感ずるよりも、色彩に対する科学的処理の方法を学ばねばならない。
— 美術論・画論 『小熊秀雄全集−19−』 青空文庫
驥尾に服してゐるのみで気概を棄てたる容子は、云はゞ小市民的なる安易さとも云ふべく、何処に翻さるべき反旗が織られつゝあるのか一向見当もつかぬのである。
— 牧野信一 『浪曼的時評』 青空文庫
そこには奇蹟的なものがない、それは散文であり、「市民的家庭的物語」に過ぎない、と彼は考へた。
— 三木清 『ゲーテに於ける自然と歴史』 青空文庫
歴史的勢力としての風土の意義を重要視し、「歴史は諸時代及び諸民族の運動せしめられた地理學以外のものでない」、と云つたヘルダーも、歴史理解の範疇として「状況」〔Umsta:nde〕 なる概念を掲げ、「最も廣き意味に於ける一民族の政治的状態、法律、政府、習俗、市民的運命」をこのやうな状況と見做した。
— 三木清 『歴史哲學』 青空文庫
文学は、小市民的な身辺小説の歴史的な塒から、よしや今宵の枝のありかを知らないでも、既に飛び立たざるを得なくなって来ている。
— ――国民文学にふれて―― 『平坦ならぬ道』 青空文庫
小市民的な発生の歴史をもった日本の純文学というものが、その文学の世界の核心であった主観的な自我のよりどころを揺がされはじめたのは凡そ今から十五年程前からのことであった。
— ――国民文学にふれて―― 『平坦ならぬ道』 青空文庫