移り行き
うつりゆき
名詞
標準
文例 · 用例
絵画で移り行きのない色を塗ったり、音楽が chromatique の方嚮に変化を求めるように、文芸は印象を文章で現そうとする。
— 森鴎外 『沈黙の塔』 青空文庫
この風ひつじさるのかたに移り行きて、多くの人のなげきをなせり。
— 鴨長明 『方丈記』 青空文庫
あらゆる瞥見は観察へ、あらゆる観察は熟思へ、あらゆる熟思は結合へ移り行き、かくて、我々は世界のうちへ注意深く眺め入る凡ての場合において既に理論してゐるのである、と云はれ得る。
— 三木清 『ゲーテに於ける自然と歴史』 青空文庫
彼はあらゆる場合において、何等かの事物または過程が示すやうに感ぜられる間隙もしくは飛躍を充たし、それを結び付ける移り行きを探し出さうと努力することを特に喜んだ。
— 三木清 『ゲーテに於ける自然と歴史』 青空文庫
自然と精神との發展の間には深い切れ目は存せず、寧ろ自然は直ちに精神の世界へ移り行き、後者は畢竟高い段階に於けるひとつの自然過程である。
— 三木清 『歴史哲學』 青空文庫
それは地上に於けるあらゆる民族の歴史を、それらの凡てに共通な諸々の状態の形象の移り行きに從つて整序することを求める。
— 三木清 『歴史哲學』 青空文庫
日は今西に移り行き、知り給へるや、木がくれて、青味を帯びしひと時を。
— 與謝野晶子 『晶子詩篇全集』 青空文庫
日は今西に移り行き、静かに霞む春の昼、花は泣かねど人ぞ泣く。
— 與謝野晶子 『晶子詩篇全集』 青空文庫