何とぞ
なにとぞ
副詞
標準
文例 · 用例
お民は此家に十|年あまり奉公して主人といへど今は我が子に替らず、何とぞ此人を立派に仕あげて我れも世間に誇りたき願ひより、やきもきと氣を揉むほど何心なきお園の体のもどかしく、どうした物と考へ、困つたものと歎き、はては意見に小言を交ぜて或る日さまざま言ひ聞かせぬ。
— 樋口一葉 『經つくゑ』 青空文庫
今後も、何とぞ、よろしくお導き下さいまし。
— 太宰治 『パンドラの匣』 青空文庫
」 と額を拭って、咳をした……「何とぞいたして御大人、貴方の思召をもちまして、お娘御、おあねえ様に、でござる、ちょっと、御意を得ますわけには相成りませぬか。
— 泉鏡花 『白金之絵図』 青空文庫
何とぞ、貴女の、御身からいたいて、人に囃され、小児たちに笑われませぬ、白蔵王の法衣のこなし、古狐の尾の真実の化方を御教えに預りたい……」「これ、これ、いやさ、これ。
— 泉鏡花 『白金之絵図』 青空文庫
而して、百年以来、天守に棲む或怪いものゝ手を攫はれて、今見らるゝ通りの苦艱を受ける……何とぞ此の趣を、温泉に今も逗留する夫に伝へて、寸時も早く人間界に助けられたい。
— 泉鏡太郎 『神鑿』 青空文庫
何とぞおとりつぎ下さい。
— 太宰治 『虚構の春』 青空文庫
そのような夜半には、私もまた、菊池寛のところへ手紙を出そうか、サンデー毎日の三千円大衆文芸へ応募しようか、何とぞして芥川賞をもらいたいものだ、などと思いを千々にくだいてみるのであるが、夜のしらじらと明け放れると共に、そのような努力が、何故とも知らず、馬鹿くさく果無く思われ、『やがて死ぬるいのち。
— 太宰治 『虚構の春』 青空文庫
」特務曹長「閣下、何とぞその訓練をいただきたくあります。
— 一幕 『饑餓陣営』 青空文庫