悽惨
せいさん
名詞
標準
文例 · 用例
あてにしていた夢が、かたっぱしから全部はずれて、大穴あけて、あの悽惨、焦躁、私はそれを知っている。
— 太宰治 『春の盗賊』 青空文庫
惟光たちは悽惨なこの歌声に目をさましてから、いつか起き上がって訳もなくすすり泣きの声を立てていた。
— 須磨 『源氏物語』 青空文庫
すると血の帯に、見るも悽惨な渦が捲き起って、いくつとなく真赤な螺旋のようなものが直立してゆくのだ。
— 小栗虫太郎 『地虫』 青空文庫
その頃温に寄せた詩の中に、「満庭木葉愁風起、透幌紗窓惜月沈」と云う、例に無い悽惨な句がある。
— 森鴎外 『魚玄機』 青空文庫
まだ、そうした場所に馴れなかった僕は、一目見ると、その悽惨な情景から、ぞっと水を浴びるような感じを受けましたが、立会いの警部や書記などの手前、努めて冷静を装いながら、まず女の傷口を見ました。
— 菊池寛 『島原心中』 青空文庫
額のところが、ほのかに汗ばんで、それが悽惨な感じを起させた。
— 菊池寛 『第二の接吻』 青空文庫
それに対して吾輩が如何なる観察を下し、如何なる方法に依って研究の歩武を進めて来たか、且つ又、その研究によって摘発されたる第二回の発作の内容の説明が、如何に悽惨、痛烈、絢爛、奇怪にして、且つ、ノンセンスを極めたものがあるか。
— 夢野久作 『ドグラ・マグラ』 青空文庫
その悽惨な姿をアリアリと現実に見た一瞬間、私は思わず眼を閉じた。
— 夢野久作 『ドグラ・マグラ』 青空文庫