銀波
ぎんぱ
名詞
標準
silvery waves
文例 · 用例
秒刻は銀波を砂漠に流し老男の耳朶は螢光をともす。
— 中原中也 『山羊の歌』 青空文庫
僅かな樹海を通して、セーヌ河の河面の銀波に光る一片や、夕陽に煙った幻のようなエッフェル塔が見渡された。
— 岡本かの子 『母子叙情』 青空文庫
滿潮の入江は銀波の動きが漸く薄らぎかけた。
— 伊藤左千夫 『古代之少女』 青空文庫
而も凉しく、而も月明かに、船は靜に金波銀波の上を行く。
— 大町桂月 『月の東京灣』 青空文庫
おりから青空高らかにのぞいた七日の月の光をあびて、金波銀波を水面に散らしながら、静々と下ってまいりましたので、両側土手のわいわい連が、見たとてどうにもなるわけではないのに、ひと目でもひとより近くかいま見ようと、互いに互いを押しのけながら、どっといちじにざわめきたちました。
— へび使い小町 『右門捕物帖』 青空文庫
おりからお十三夜の豆名月は、秋空|碧々として澄み渡った中天にさえまさり、宵風そよぐみぎわのあたり月光しぶく弁天の森、池面に銀波金波きらめき散って、座頭の妻の泣く名月の夜は、今がちょうど人の出盛りでした。
— 明月一夜騒動 『右門捕物帖』 青空文庫
「金波銀波がきれいじゃがのう」 と少しはなれて行き違った天満船の、波のうねりを見てすみ子が言った。
— 倉田百三 『光り合ういのち』 青空文庫
日本を暫くも離れて遠國へ行つてゐるものが或時若し日本全體を一の畫圖として、夢の中に思ひ浮出させることがありとすれば、それは必ず、紺青の夜の海に、銀灰色をなして浮び上る島山の姿であらう、そしてその連山の麓に、同じく銀波の寄せて碎くる遠い音を耳にするであらう。
— 吉江喬松 『山岳美觀』 青空文庫