臂力
ひりょく
名詞
標準
文例 · 用例
わたしは臂力が足りないし疲れているから、つい男をたのんで国男にいくらかは動いてほしいと思うのですが、この人はいつか申し上げたかしら、イギリスの紳士よ。
— 一九四五年(昭和二十年) 『獄中への手紙』 青空文庫
野獣のような貪婪さで目を眩まされた正隆は、強い垣内の臂力に抱き竦められて、膏汗を流しながら、身を震わせた。
— 宮本百合子 『渋谷家の始祖』 青空文庫
細身の刀か、それに類似した薄刃の軽い刃物で斬りつけたものと思われるが、歩いているところを、後からだしぬけに斬りつけたのだとすると、創口の工合から見て、当然、相当長身の者の仕業だと察しられ、長さの割合に創口が深くないのは、あまり臂力すぐれぬ者がやった証拠である。
— 萩寺の女 『平賀源内捕物帳』 青空文庫
……しかし、鷹にはあれほどの臂力はあるまいから、おそらく鷲だろう」「うへえ、鳥ぐらいのことは、あっしだって考えますが、その鳥が源内櫛にばかり飛びつくというのはどういうわけです。
— 萩寺の女 『平賀源内捕物帳』 青空文庫
衆望の期するところ、臂力衆に勝れ、河馬のごとくに鈍重なる所員フノ・ゴメズ君がその選に当る。
— 橘外男 『ウニデス潮流の彼方』 青空文庫
ゴメズ君、あっちへ鋏を当ててみたり、こっちへ当てがってみたり、しばしが程は函の廻りをグルグルと歩き廻っていたが、どこをどうして捩じあけたものか、これもまた入神の臂力を出して、とうとう函の板を、一枚メリメリと無理無体に引っ剥がし取ってしまった。
— 橘外男 『ウニデス潮流の彼方』 青空文庫
その代々木流の臂力をためさぬことも、蔦之助にとっては、久しいものだ。
— 吉川英治 『神州天馬侠』 青空文庫
彼の体躯は老骨の作左衛門を眼下に見るほどの大男である上、臂力は山陰に並びなき、十二人力と称せられ、しかも宝蔵院の槍術、一刀流の剣道は達人と称せられた大月|玄蕃である。
— 吉川英治 『剣難女難』 青空文庫