盲法師
めくらほうし
名詞
標準
文例 · 用例
平家琵琶の検校藤村|性禅氏がまだ生存してゐた頃で、富尾木氏もこの盲法師が波多野流の最後の人である事はよく知つてゐたので、態々宿に招いて平家の一曲を所望する事に定めた。
— 大正六(一九一七)年 『茶話』 青空文庫
」 気の毒な盲法師は、迚も自分の手では出来さうにもないといつて、匆々に琵琶をしまつて座を立つた。
— 大正六(一九一七)年 『茶話』 青空文庫
」 車夫は盲法師めが、目も見えないくせに、何を出過ぎたことを云ひをるかと、あまりいい返事はしなかつたが、それでも、次の辻へ来て言はれたとはりに左へ折れてみると、道はさつきのと、比べものにならぬほど走りよかつたので、一寸驚かぬわけに往かなかつた。
— 薄田泣菫 『独楽園』 青空文庫
昔し其邸の主人が盲法師に藝させ八島を謠ふ所を試し切りにした其幽じるしの由。
— 南方熊楠 『人柱の話』 青空文庫
又この時分私は外出したおみやげに、盲法師の琵琶を弾じて居る博多人形を買って帰りまして、そっと知らぬ顔で、机の上に置きますと、ヘルンはそれを見ると直ぐ『やあ、芳一』と云って、待って居る人にでも遇ったと云う風で大喜びでございました。
— 小泉節子 『思い出の記』 青空文庫
巫女の語りと、聖・盲法師の語りとの融合した物が、小栗・照天を一つにしたか。
— 「餓鬼阿弥蘇生譚」終篇 『小栗判官論の計画』 青空文庫
「それにしたってお前、蛇なんぞ……早く下りておいで」「もう二つばかり捉まえてから下りるから、弁信さん、お前、あたいにかまわずに燈籠を点けに行っておいで」 木の上の悪太郎は下りようともしないから、盲法師は呆れた面で金剛杖をつき直しました。
— 安房の国の巻 『大菩薩峠』 青空文庫
二 浪切不動の丘の上に立つ高燈籠の下まで来た盲法師は、金剛杖を高燈籠の腰板へ立てかけて、左の手首にかけた合鍵を深ると、潜り戸がガラガラとあきました。
— 安房の国の巻 『大菩薩峠』 青空文庫