棄置
棄置
名詞
標準
文例 · 用例
しかも開けて見ている処が――夫婦相性の事――は棄置かれぬ。
— 泉鏡花 『婦系図』 青空文庫
花屋の庭は美しかろう、散歩の時は寄ってみるよ、情郎は居ないか、その節邪魔にすると棄置かんよ、などと大上段に斬込んで、臆面もなく遊びに来て、最初は娘の謂うごとく、若山を兄だと思っていた。
— 泉鏡花 『黒百合』 青空文庫
背後から大きな声で、「奢れ奢れ、やあ、棄置かれん。
— 泉鏡花 『黒百合』 青空文庫
我輩警察のために棄置かん、直ちに貴公のその額へ、白墨で、輪を付けて、交番へ引張るでな、左様思え、はははは。
— 泉鏡花 『黒百合』 青空文庫
やんちゃんもここに至っては棄置かれず、言付け口をするも大人げないと、始終|蔭言ばかり言っていた女房達、耐りかねて、ちと滝太郎を窘なめるようにと、夜に入ってから帰る母親に告げた事がある。
— 泉鏡花 『黒百合』 青空文庫
金剛杖を棄置いて、腰の据らぬ高足を※と踏んで、躍上るようにその前を通った、が、可笑い事には、対方が女性じゃに因って、いつの間にか、自分ともなく、名告が慇懃になりましてな。
— 泉鏡花 『星女郎』 青空文庫
検死の医師の診察せるに、こは全く病気のために死したるにあらで、何にかあるらん劇しき毒に中りたるなりとありけるにぞ、棄置き難しと警官がとりあえず招寄せたる探偵はこの泰助なり。
— 泉鏡花 『活人形』 青空文庫
あるいは救助の遅くして、下枝等は得三のために既に殺されしにあらざるか、遠くもあらぬ東京に住む身にて、かくまでの大事を知らず、今まで棄置きたる不念さよ。
— 泉鏡花 『活人形』 青空文庫