素跣
すはだし
名詞
標準
文例 · 用例
……旧主人の後室様がお跣足でございますから、石松も素跣足。
— 泉鏡花 『眉かくしの霊』 青空文庫
破傘の尻端折、下駄をつまんだ素跣足が、茗荷谷を真黒に、切支丹坂下から第六天をまっしぐら。
— 泉鏡花 『薄紅梅』 青空文庫
勿論素跣足で、小脇に隱したものを其まゝ持つて出て來たが、唯見れば、目笊の中充滿に葉ながら撮んだ苺であつた。
— 泉鏡花 『山の手小景』 青空文庫
これは素跣足、入交ひになり、引違ひ、立交りて二人とも傍目も觸らず。
— 泉鏡花 『彌次行』 青空文庫
色が真蒼で、目も血走り、伸びた髪が額に被つて、冠物なしに、埃塗れの薄汚れた、処々釦の断れた背広を被て、靴足袋もない素跣足で、歩行くのに蹌踉々々する。
— 泉鏡太郎 『神鑿』 青空文庫
お島は襷がけの素跣足で、手水鉢の水を取かえながら、鉢前の小石を一つ一つ綺麗に洗っていた。
— 徳田秋声 『あらくれ』 青空文庫
佐藤の妻は素跣のまま仁右衛門の背に罵詈を浴せながら怒精のようについて来た。
— 有島武郎 『カインの末裔』 青空文庫
黒血だらけの引っ掻き傷と、泥と、ホコリに塗みれた素跣足の上に、背縫の開いた囚人服を引っかけて、太い、新しい荒縄をグルグルと胸の上まで巻き立てている彼の姿を見たら、大抵の者が震え上がったであろう。
— 夢野久作 『白菊』 青空文庫