焼け木
やけぎ
名詞
標準
文例 · 用例
交番の前で又記者をふり返ってギョロリと見た……それからがよくわからないが、焼け木の積んである横路地を二つ三つ抜けて、夕顔を絡ませた新しい板塀にぶつかった。
— 夢野久作 『東京人の堕落時代』 青空文庫
青、赤、茶、白、黒、黄、紫、灰色なぞの屋根が、生地のトタン屋根と一所に太陽の下に波を作って、焼け木の森に打ち寄せ、鉄橋を漂わせ、小山を這い上り、煙突を浮かせつつ、果ては銀灰色の空の下に煙のように消え込んでいる。
— 夢野久作 『街頭から見た新東京の裏面』 青空文庫
つい一昼夜前まで、このあたりにめずらしい、数寄をこらした寮の建物のあったあたり、焼け木が横たわり、水と灰によごれた畳、建具がちらばり……まだ焼け跡の整理もついていない。
— 日光の巻 『丹下左膳』 青空文庫
一面に焼け木の横たわる惨澹たる屋敷跡に、今し激しい斬りあいが始まっているではないか。
— こけ猿の巻 『丹下左膳』 青空文庫
焼け木杭見たいになっているかも知れない……そう思うと情けないやら、懐かしいやら、またそれがいかにも無残で、惜しいやら、私はただもうふらふらとその現場へ飛んで行きたくなりました。
— 蠑螺堂百観音の成り行き 『幕末維新懐古談』 青空文庫
またそこここに寺院の大屋根が五つも見えるが、……庶民どもの住宅街はまるでひどい、乞食部落というより焼け木杭と繩蓆をつくねた感じである。
— 忍術千一夜 第二話 『三悪人物語』 青空文庫
大胡城は去年、上杉勢に攻め落されて、石垣と焼け木杭しか残っていない。
— 林崎甚助 『剣の四君子』 青空文庫