胸に一物
むねにいちもつ
表現
標準
machination
文例 · 用例
胸に一物ある夫婦は寝たふりをして夜のふけるのを待っていると、やがて子の刻の鐘がひびいた。
— 岡本綺堂 『影を踏まれた女』 青空文庫
わたくしは正月にこの浜町の寮へ池上を訪ねて、その日はそのまゝ帰りましたが、胸に一物あるわたくしは、それから三日にあげず、わたくしの方から寮を訪ねるようにしまして、間もなく池上から勧めるように仕向けさしまして遂にわたくしはこの寮の客となってしまいました。
— 岡本かの子 『生々流転』 青空文庫
これですかと男はいやな顔もせず笑って、こりゃ僕の荷物ですよ、「胸に一物、背中に荷物」というが、僕の荷物は背中に一文字でね。
— 織田作之助 『競馬』 青空文庫
何だか胸に一物、背中に荷物ってとこかな。
— 織田作之助 『昨日・今日・明日』 青空文庫
品物を用意してきた風呂敷に包み、「胸に一物、背中に荷物やな」と、丁稚に言われて、帰る道は風呂敷包みをもっているだけ、往く道より辛かった。
— 織田作之助 『青春の逆説』 青空文庫
いずれにしても、胸に一物ある勇二はすぐにその相談に乗って、ひとまず奥様を鮫洲の金造の家に隠まうことにして、約束の二十五日の午過ぎに湯島の天神の近所に忍んでいて、お千恵さんを駕籠に乗せて鮫洲に送り込みました。
— 大森の鶏 『半七捕物帳』 青空文庫
お半は幽霊を怖がって、中途から右の路へ出ようというのを、胸に一物ある信次郎は、無理に左の方へ連れ込むと、お半はいよいよ怖がって信次郎にすがり付く。
— 幽霊の観世物 『半七捕物帳』 青空文庫
胸に一物あるお定は結局かれになびいて、宿の或る小料理屋の奥二階を逢曳きの場所と定めていた。
— 張子の虎 『半七捕物帳』 青空文庫
作例 · 標準
いつも笑顔だが、彼の胸に一物あるのは明らかだった。
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彼女が急に親切になったのは、何か胸に一物あるからだろう。
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会議での彼の発言には、胸に一物あるような裏の意味が感じられた。
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