鏡越し
かがみごし
名詞
標準
文例 · 用例
でっぷり太って居られて、てこでも動かない感じで、あぐらをかいて、そうして眼鏡越しに、じろりと私を見る、あの大きい眼も、本当に孤高なお方の眼でございました。
— 太宰治 『きりぎりす』 青空文庫
」校長はじっと眼鏡越しに、豚の小さな眼を見て云った。
— 宮沢賢治 『フランドン農学校の豚』 青空文庫
その間、老妻は眼鏡をかけて着物に霧を吹いて畳んでいますが、とき/″\唇を伸して眼鏡越しに二人の模様を眺めます。
— 岡本かの子 『生々流転』 青空文庫
母は手の物を置いて、眼鏡越しに省作の顔を視つめながら、「そらまあ……」 驚いた母はすぐにあとのことばが出ぬらしい。
— 伊藤左千夫 『春の潮』 青空文庫
其処に飾付て在ッた木像の顔が文三の欠伸をした面相に酷く肖ているとか昇の云ッたのが可笑しいといって、お勢が嬌面に袖を加てて、勾欄におッ被さッて笑い出したので、傍に鵠立でいた書生|体の男が、俄に此方を振向いて愕然として眼鏡越しにお勢を凝視めた。
— 二葉亭四迷 『浮雲』 青空文庫
新聞を拾読していたお政は眼鏡越しに娘を見遣ッて、「欠びをして徒然としていることは無やアね。
— 二葉亭四迷 『浮雲』 青空文庫
臺所|傍の二|畳でも母親が長い叺をする……眼鏡越しに由三の方を見て、「隣りのお婆さん、何うなすツたかナ。
— 三島霜川 『昔の女』 青空文庫
一種の空想家らしくぎらぎらとかがやく大きな眼が、強度の眼鏡越しに、すわり悪く活き活きと動いた。
— 有島武郎 『星座』 青空文庫