雑司
ざつし
名詞
標準
文例 · 用例
今、この悲しい詩人の霊は、雑司ヶ谷の草深い墓地の中に、一片の骨となって埋まっている。
— 室生犀星と佐藤春夫の二詩友を偲びつつ 『小泉八雲の家庭生活』 青空文庫
明治二十六年七月十八日鉄拐山の麓において内村鑑三改版に附する序 この書初めて成るや余はもちろんまず第一にこれを余の父に送れり(彼は今は主に在りて雑司ヶ谷の墓地に眠る)。
— 内村鑑三 『基督信徒のなぐさめ』 青空文庫
」「ヒ、ヒ、ヒ、空ざまに、波の上の女郎花、桔梗の帯を見ますと、や、背負守の扉を透いて、道中、道すがら参詣した、中山の法華経寺か、かねて御守護の雑司ヶ|谷か、真紅な柘榴が輝いて燃えて、鬼子母神の御影が見えたでしゅで、蛸遁げで、岩を吸い、吸い、色を変じて磯へ上った。
— 泉鏡花 『貝の穴に河童の居る事』 青空文庫
……其時、おや、小さな木兎、雑司ヶ谷から飛んで来たやうな、木葉木兎、青葉木兎とか称ふるのを提げて来た。
— 泉鏡花 『玉川の草』 青空文庫
これは、下谷の、これは虎の門の、飛んで雑司ヶ谷のだ、いや、つい大木戸のだと申して、油皿の中まで、十四五挺、一ツずつ消しちゃ頂いて、それで一ツずつ、生々とした香の、煙……と申して不思議にな、一つ色ではございません。
— 泉鏡花 『菎蒻本』 青空文庫
そこで僕は武蔵野はまず雑司谷から起こって線を引いてみると、それから板橋の中仙道の西側を通って川越近傍まで達し、君の一編に示された入間郡を包んで円く甲武線の立川駅に来る。
— 国木田独歩 『武蔵野』 青空文庫
その旗本はなんという屋敷で、隠居の下屋敷はどこにあるんだ」「屋敷は大久保式部という千石取りで、その隠居の下屋敷は雑司ヶ谷にあるそうです」「じゃあ、なにしろその雑司ヶ谷というのへ行って見ようじゃあねえか。
— 帯取りの池 『半七捕物帳』 青空文庫
雑司ヶ谷へゆき着いて、大久保式部の下屋敷をたずねると、さすがは千石取りの隠居所だけに屋敷はなかなか手広そうな構えで、前には小さい溝川が流れていた。
— 帯取りの池 『半七捕物帳』 青空文庫