童蒙
どうもう
名詞
標準
文例 · 用例
駄荷馬などの砂煙をあげて行く道路を隔てて谷の向うに青い山がそそり立ち、うねった道路の果てにも、どっしりした山が威圧するように重なり合って見え、童蒙な表情をしていた。
— 徳田秋声 『縮図』 青空文庫
」 銀子は目に涙をためていたが、栗栖もちょっとてこずるくらい童蒙な表情をしていた。
— 徳田秋声 『縮図』 青空文庫
お鈴という古くからいる、童蒙な顔の体のずんぐりした小女の、ちょくちょく物を持ち出して行くのにも困ったが、むやみといりもしないものを買いこむのが好きな新参のお光にも呆れた。
— 徳田秋声 『仮装人物』 青空文庫
自分自身の童蒙的な剛情を通すほか、積極的には何の障りにもならない鈍重な動物のやうな彼女ではあつたけれど、親らしい、若しくは祖母らしい心が少しも働かないのが飽足りなかつた。
— 徳田秋聲 『余震の一夜』 青空文庫
これ仁者の言、いわゆるその君をして堯舜になす者なり、嗚呼なる所為なれど童蒙のために註しつ(以上馬琴の説)。
— 羊に関する民俗と伝説 『十二支考』 青空文庫
宣王もし牛は死を恐れ、羊は死を喜ぶ故に易えよと言われしならば、その由を説かるべきにその説なきをかく言わば童蒙をしてかえって迷いを生ぜしむべきにやと(『古今要覧稿』五三一巻末)。
— 羊に関する民俗と伝説 『十二支考』 青空文庫
こんな調子で、半蔵は『童蒙入学門』や『論語』なぞを読ませに村の子供らを誘い誘いした。
— 第二部下 『夜明け前』 青空文庫
愛兒讀本 最近に、わたしは昔の人の筆になつた『童蒙入學問』といふ本を開いて見て、すくなからず心に驚いたことがある。
— 島崎藤村 『桃の雫』 青空文庫